2010年12月5日日曜日

内藤裕の釉象嵌陽葉文合子

内藤裕の釉象嵌陽葉文合子


このブログの最終回の器は、実父、内藤 裕の釉象嵌陽葉文合子(ゆうぞうがんようようもんごうす)です。

釉象嵌とは、文字通り、釉薬を象嵌することです。
素地となる釉薬と象嵌した釉薬の融点を合わせているので、その境界線は溶け合うため微妙に滲み、柔らかい線を出します。
父がずっと追いかけてきた技法です。

さて、この合子に何をいれましょうか?
昔、美術商さんと合子に何をいれるか話したことがあります。
私が、冷奴とか?と言ったら、そんなこと言うのはお嬢さんだけですよ!
と言い返されました。
多分、合子なんて売りにくいものじゃなくて、花生とか、壺とか作れって意味だったのではないかと思ってます(笑)。
そういえば、実家にはお嫁に行けない合子がごろごろ。


陽葉文の合子には、やっぱり何かワクワクするようなものを入れたいと思いますが、具体的には思い当たりません。
私の手元にあるこの合子には、これを作っていた父の姿、仕事場の釉薬の匂い、窯焚きの時の熱さまでもが、目には見えませんが詰まっていて、多分、何も入れなくても満足なのです。

工芸品を使いましょう!と言い続けてきたこのブログの最終回が、“使わなくても満足”では何か変ですが、工芸品の魅力は、“その人を幸せにする”ことです。使って幸せ、見ているだけでも幸せがあってよいのだと思います。


釉美屋 石川恭子



2010年11月29日月曜日

小暮紀一のガラスの猪口

小暮紀一のガラスの猪口

随分以前からぐいのみのコレクションをしています。

小暮さんの猪口との出合いは全くの偶然でした。
横浜のデパートで開催されていたクラフト展に出向いたときに見つけたものです。

明るい色使いの作品が多い中で、ほとんど白一色のこの猪口に魅了され、その場から動けなくなってしまったことを覚えています。
レースガラスの繊細さと高台の部分に埋め込まれたミルフィオリが実にチャーミングな作品です。

冷酒を入れてみると、驚いたことに乾いているときはマットな感じにみえる内側に、さーっと透明感が出てきます。
どういう加減なのかはわかりませんが、もう何年も使っているのに、その瞬間はいつも見とれてしまいます。


ぐいのみの後ろは、『えくぼ』というタイトルのついた南部鉄器の酒燗です。
酒燗とありますが、私はもっぱら冷酒に使っています。
鉄製なので、あらかじめ冷蔵庫に入れて冷やすことも出来、便利です。
第16回全国伝統的工芸品展で通商産業省生活産業局長賞をいただいたものです。
我が家に来て18年、愛用の一品です。


釉美屋 石川恭子

2010年11月13日土曜日

瑾齋の漆椀

瑾齋の漆椀

最近、Mバーガーで軽食を食べることがあります。

ここの季節限定メニューに玄米餅のおしるこというものがあり、ちょっと気に入っているのですが、このおしるこ、白いスープカップで出てくるのです。

お若い方には何ともないのでしょうが、お若くない私には何とも陳腐!

やっぱりおしるこは漆のお椀でいただきたいじゃないですか。

そこで、今回はお湯でとかしてできる鶴屋吉信の風流しるこを山中漆器(石川県加賀市)の瑾齋さんのお椀に入れてみました。

山中は北陸の温泉地で約400年と続く漆器産地です。

器はお手頃、中身はお手軽!

でも、スープカップでいただくよりはずっといいなぁ。

釉美屋 石川恭子


2010年11月4日木曜日

赤澤正之の藁灰釉長板皿

赤澤正之の藁灰釉長板皿

今回の器は、赤澤正之さんの藁灰釉長板皿(わらばいゆうながいたざら)です。
ちょうど季節の栗蒸し羊羹をのせてみました。
釉のかかり具合が面白くて、まるで木漏れ日があたっているように見えませんか?
長さ35㎝、幅14㎝のこの板皿は、物をのせる位置によって様々な表情を見せてくれます。

赤澤さんは益子に登り窯を築窯し、制作しています。
益子本来の“やきもの”を目指し、とてもこだわりのある方です。
物静かで、優しげでいながら、なかなかに皮肉っぽいところがまた面白い方で、めったにお目にかかることはないのですが、お会いできる時はいつも楽しみです。

釉美屋 石川恭子

2010年10月11日月曜日

三原 研のせっ器の陶板

三原 研のせっ器の陶板

このブログの第12回でもご紹介した三原 研さんの陶板です。
裏は、壁に掛けられるようになっていて、普段は壁に飾っています。


せっ器のせっは、火偏に石と書きます。(変換しないのですみません)
陶器と磁器の中間で、釉薬をかけず、焼き締めです。“地肌の風合いが賞玩される”とWikipediaにもありますが、まさにその通りの作品です。

陶板ですが、まな板皿としても使える!まさに一石二鳥だわと貧乏根性丸出し?で求めたものです。

いただきものの“味噌松風”(カステラみたいな京都のお菓子です)を盛ってみました。
いつも壁にかかっているものを、卓上で見るのもまた一興。
なんだか別の作品のように感じました。

作品は、嫌がっているかも?お菓子なんかのせて~!!
お刺身じゃないから許してね。アハッ。

釉美屋 石川恭子

2010年9月27日月曜日

輪島・キリモトのぐい呑み

輪島・キリモトのぐい呑み

このぐい呑み、タイトルは“あなた”なんです。
“あなた”があって、実は“わたし”というぐい呑みもあります。
二つのぐい呑みは、曲面がぴったり合うように出来ています。
輪島・キリモトの桐本さんはプロダクトデザイナー、いかにもといった器です。

この器、直径が67㎜、高さが60㎜と、ぐい呑みとしても大ぶりで、でも、お茶を飲むには小さく、なんとなくタンスの肥しならぬ、
食器棚にさびしく飾られてました。

品川駅のエキナカで、写真のひたし豆(青大豆と高菜のお惣菜)を見つけた時にこの器を思い出しました。もしかしたらぴったりかも?
なかなかに良い出合いでした。

釉美屋 石川恭子

2010年9月12日日曜日

垣沼一舟の蒔絵銘々皿

垣沼一舟の蒔絵銘々皿

釉美屋は新しいプロジェクトに向けて準備をしています。
その打ち合わせで、垣沼さんに会いに村上(新潟県)まで行ってきました。

垣沼さんとは、15,6年の付き合いですが、いつも電話で話をするばかりで、会いに行くことは滅多にありません。前回お会いしたのは数年前。
外国からのとんでもない注文!(彫漆の万年筆)を伝えるためとクライアントから預かった万年筆を渡すためでした。

垣沼さんは大の甘党。好みのお菓子をお土産に持参したところ、お土産に?この蒔絵の銘々皿をいただいてしまいました。(びっくり!)

こういう絵柄のお皿に主菓子を合わせるのは難しいので、干菓子のつもりで、コンビニで買ったココナッツクッキーをのせてみました。が、なんだか使うのがもったいないような銘々皿・・・って私が言っちゃおしまいなんですけど(汗)

釉美屋 石川恭子

2010年9月1日水曜日

マイセンのジャパニーズティーカップ

マイセンのジャパニーズティーカップ

自前のギャラリーがないのに、展覧会を掛け続ける私はまさに、“ギャラリーのないギャラリスト”ではないかと自負するのですが、固定費がないかわりに、展覧会のたびに物が増える、増える。

このマイセンのジャパニーズティーカップもその一つ。
陶芸の個展会場で、お客様にお茶をお出だしするのに、他の作家のお茶碗じゃなんともなぁ・・・と迷いに迷って、ニュートラルなこれを買った次第です。

マイセンのカップは素晴らしいものが数多ありますが、このティーカップはなんとも陳腐。無理があるように思うのです。
単なる趣味の問題かもしれませんが・・・。結局、会場でも使わなかったし(泣)

それで、単なる器として使ってみようかと、もずくを入れてみました。
あっ、これ、案外イケるかも!
これで永久お蔵入りは免れるかもと、自己満足に浸る真夜中でした。

釉美屋 石川恭子

2010年8月22日日曜日

鈴木盛久工房の天蓋茶托

鈴木盛久工房の天蓋茶托

岩手県盛岡市に、創業寛永2年、南部鉄器の鈴木盛久工房
があります。

この茶托、パンフレットによれば、国宝・金色堂の中央壇の本尊阿弥陀如来像の頭上を荘厳する天蓋の形を模しているのだそうです。
どうりで、なんとも言えない品格があると思いませんか?

素材は鉄で、型に鉄を流し込んで作る鋳物(いもの)です。
えーっ?鉄?と思われる方もいらっしゃると思いますが、金属(食器)アレルギーは抜きにしてじっくり見ていただくと、いかにも鉄らしい落ち着いた風合いが素敵です。

茶托ですが、私は今回のように菓子皿として使ってます。

先日立ち寄った銀座の虎屋では、すでに初秋というお菓子がお目見えしていたというのに、朝顔ですみません。
ゆく夏を惜しんで・・・と、お許しください。

釉美屋 石川恭子

2010年8月6日金曜日

関根正文の錫の器

関根正文の錫の器

暑中(残暑)お見舞い申し上げます。
この号が、8月7日の立秋までにアップされるか微妙なので、両方書いてみました。すみません。

今年の夏は、酷暑という言葉がぴったりですね。
こうなってくると、火を使って料理をしたくないというのが本音。
というわけで、今回は、電子レンジでチンしたアスパラガスを、関根正文さんの錫の器に盛ってみました。
仕上げは、クレイジーソルトとワインビネガー。


このシリーズの第15回で紹介した関根さんの器は銀と錫の合金でしたが、今回の作品は錫です。もう何年も使っているので、キラキラ感が若干抑えられていますが、夏の器の定番です。
夏は大嫌いですが、季節を感じて器選びが出来るというのは四季ある国で生活する喜びでしょうか?

おっ、そろそろ冷蔵庫で、器ごとキンキンに冷えている頃。
それでは、このへんで失礼いたしまする。

釉美屋 石川恭子

2010年7月30日金曜日

伊東祐一の高杯の器

伊東祐一の高杯の器

このシリーズの第29回でご紹介したデザートカップより小振りの器です。

呼びようがないので、高杯(たかつき)の器としましたが、“高杯”とは、本来はお盆に一本脚の台がついているものを言うようです。
土器・須恵器の時代からあった形だとか・・・平安期以降は木製で漆を塗ったものだそうです。そういえば、時代劇で見かけますね。


さて、この器、径12㎝、高さ8㎝なのですが、実に使い勝手がよいのです。お刺身や今回のようなちょっとした炊き合わせもいけます。和のものはもちろん、ビーフシチューなどもOK。


青磁と聞くと、やたら敷居が高いとお感じになる方がいらっしゃいますが、伊東さんの食器は、普段はもちろん、ちょっとしたおもてなしにはぴったりです。お値段もそれほでど高くはありませんって、何を基準にするかですが・・・(笑)
でも、この自家製炊き合わせ、どこの料亭かしら~って感じしません?

釉美屋 石川恭子

2010年7月20日火曜日

田中千絵の錫の銘々皿

田中千絵の錫の銘々皿

梅雨が明けてしまいました。
今回の器は、以前にもご紹介した金工家の田中千絵さんの錫の作品です。題名は雲の皿。入道雲を連想させる銘々皿ですので、夏になったら是非ご紹介したいと思っていました。

一枚として同じものがない形はまさに入道雲。鈍く光る錫の質感と鎚目(鎚でたたいたことによる模様)が合いまってとても涼しげです。

ずっと昔、原宿にあった菓匠寿々木で、夏のお茶会をした際に作ってもらいました。
この時のお菓子は、向日葵をイメージした練り切り。季節感も満点でした。なんか、とっても懐かしい。大変だ、大変だとドタバタしながらもいい時代だったなぁ。

釉美屋 石川恭子

2010年7月13日火曜日

饗庭 孝昌(AEBA Takayoshi)の器

饗庭 孝昌(AEBA Takayoshi)の器

四季の中でどの季節が嫌いかと言えば、迷うことなく、夏。
暑さ本番はこれからだぁと思いながらも、すでに食欲がなく、そうめんばっかり食べてます。

今回は、そうめんの薬味を饗庭さんの珍味入れに入れてみました。みょうがはこれでちょうど1本分です。

この作品、たまに出かける益子のギャラリー陶庫で見つけました。
適度な大きさと絵がかわいい。お値段もかわいい→即決。
だったのですが、珍味ってそうそう家にあるものではなく、登場回数は稀。というかほとんど忘れてました。

ところがですね、1年前のお茶会で蓋置にしちゃったのです。
よく見ると、口が微妙に反っていて、蓋を置いても空気穴ができるし、こりゃいいかも!お客様にも好評でした。


珍味入れだから、珍味をと頑なに思わず、いろいろ挑戦なさってくださいませ。皆さまのお宅にもあるんじゃないですかぁ?
使っていない“珍味入れ”

釉美屋 石川恭子

2010年7月5日月曜日

神田正之のガラスの器

神田正之のガラスの器


朝日新聞の“ものづくりのテーブル”というコラムで、『贅沢は(素)敵だ!』という小文がありました。
なんじゃこの(素)敵はと思って、切り取ってあります。
このコラムの内容はさておき、今回は、とびきりの贅沢をご紹介。


器は、34号でもご紹介した神田正之さんの四足の器です。
型モノの仕事で、こういった細い四足の形は、技術的にも難しいと思いますが、なんといってもの魅力はバランスの良さと、ガラスならではの透明感。
私の大切な宝物の一つです。

今回はこの宝物の器に、山形から送っていただいたさくらんぼを山と盛ってみました。(こんな贅沢、自腹じゃ出来ない・・・笑)

さくらんぼを送ってくださった方のご厚情、美しい器、それを愛でる時間・・・
これらを全部ひっくるめて贅沢と言わずに何といいましょうや。

“贅沢は素敵!”です。

釉美屋 石川恭子

2010年6月28日月曜日

長江 重和の器

長江 重和の器

今回は21号でご紹介した瀬戸の陶芸家、長江重和さんの作品です。
21号のイコミの作品とは違います。多分、型モノではないかと。

タイトルは“銀のキャセロール”だったと思いますが、蓋と持ち手に銀泥が施されているため、オーブンにも電子レンジにもいれたことはありません。要するに蓋のある盛器です。今回は、いただきものの葡萄を盛ってみました。(なんか、いっつもいだだきものが登場するな~)


そういえば、21号でご紹介した作品は、ガラスの長テーブルの上、一番窓側に鎮座しているのですが、これが窓からの風でスイングするのです。カタン、カタン、カタン・・・。最初はギョッとしましたが、
いつもいつもオレンジを盛っておけるわけもなく・・・(汗)、磁器だし、まっ、いいっか!

釉美屋 石川恭子

2010年6月22日火曜日

神田正之のガラスのプレート

神田正之のガラスのプレート

出張の帰りに友人が我が家に寄ってくれました。
お土産は、マールブランシュの茶の香。(私の好物!)
早速、おもたせで彼女とお茶をしました。

器は、神田正之さんのガラスのプレート。
“皿”と書くのは戸惑うほど、“プレート”です。

ガラスのパーツを石膏型に入れて焼く、いわゆるキルンワークで、わずかな厚みの中にも奥行きが感じられる面白い作品です。

神田さんの作品はカラフルな物が多いように思いますが、白、透明、半透明の組み合わせのこの作品はお気に入りです。これを“皿”と考えたら、扱いづらくてトホホですが、“プレート”と思うとどうやって使いこなそうか、作品と向き合って常にワクワクするのです。

釉美屋 石川恭子

2010年6月13日日曜日

室町勝廣のぐいのみ

室町勝廣のぐいのみ

紫陽花がきれいな季節になりましたね。

今週のお題(この原稿のことをそう呼んでます)を何にしようかと食器棚を眺めていたら、おっ、ここにも紫陽花が・・・

第27号でもご紹介した陶芸家、室町勝廣さんの作品で、今回はぐいのみです。
全体は青白磁。釉薬を盛って描いた上に、透明釉がかかっていて涼しげでとてもきれいです。

ぐいのみだけど、チョコボールを入れてみました。いい感じ。
今はやりのアサイーとブルーベリーのチョコボール、高かったけどおいしい!
でも、まわりのチョコがどんどん溶けてる感じ。温度差で汗かいてる。

器に見とれてる場合じゃない、早く食べないと・・・。
花より団子ならぬ、花よりチョコボール!って意味違ってますね(汗)

釉美屋 石川恭子

2010年5月31日月曜日

上野ツカサのガラスの器

上野ツカサのガラスの器

季節柄か、最近は展覧会の案内をたくさんいただきます。

先日も銀座和光で開催されていた日本ガラス工芸協会の選抜展を見に行ってきました。そこで思い出したのが、上野ツカサさんの作品、絣ガラスの器。

そうだ、すっかりしまいこんでた!
絣模様のマット感と無地の部分の半透明感が素敵!と数年前に衝動買いしたものでした。

これ買ったときは、わらび餅とか盛りたいなぁと思っていたのですが、普段お菓子というものを食べないのですっかりお蔵入り。

今回は、オリーブのピクルスとチーズのおつまみを盛ってみました。これに冷えた白ワインか大好きなシャンパンがあれば・・・(ニマッ)
あっ、まだお昼前でした(汗)


【お詫びと訂正】

第28号でご紹介した林まさみつさんの展覧会の日程が間違っていました。詳細は下記のとおりです。
予定されていた方、申し訳ありません。
もう始まってます!


林まさみつ小品展

2010年5月29日(土)~6月9日(水)
10時30分~18時 (会期中無休)

会場:かまくら はたの
〒248-0024
鎌倉市稲村ケ崎1-15-31
TEL/FAX:0467-25-2730

釉美屋 石川恭子

2010年5月23日日曜日

田中千絵の錫の小さい器

田中千絵の錫の小さい器

姪の高校入学の内祝で、沢屋のブルーベリージャムをいただきました。毎朝、せっせと食べてます。一人暮らしなのに5瓶も来ちゃったし。

1回にどのくらい食べたのかわからなくなってしまうので、田中千絵さんの錫の器にいれてます。
田中さんは第16号でご紹介したミルクパンの彼女です。

錫の器は銀のような変色がなく、扱い易いです。お値段も手ごろ。
見た目の涼しさがこれからの季節にはぴったりです。


姉はこのジャムをいたく気に入っているとのことで、1回に半分(一瓶の)食べてしまうこともあるとメールがきました。
えっ!!あのー、カロリー、考えてる?(汗)でないと成長(前と横だけ)の一途をたどるよーと返信したところ、それからメール来ません(笑)



【お知らせ】

田中千絵さんの個展が銀座で開催中!

田中千絵展
2010年5月17日(月)~6月5日(土)
ギャラリーバー Kajima (カジマ)
東京都中央区銀座7-2-20 山城ビル2階
03-3574-8720

バーなので、営業時間にご注意ください。
月~土 18時~24時
日曜日 17時~23時

釉美屋 石川恭子

2010年5月16日日曜日

ケイ カオリの一閑張の小箱

ケイ カオリの一閑張の小箱

仕事場にあるYubiya Cozy Space;小さくて居心地のいい空間のはすが!?、ここ数か月は足の踏み入れ場もないほどの倉庫と化してました。このままではいかんと毎日お片付け。納戸の奥から出てきたのが、この玉手箱です。

あら、こんな素敵な小箱があった・・・。これ開けて、ますますおばばになったら困るなと考える暇もなく開けたところ、中からメモが・・・

三越本店 つくり手たち展 
1998年4月
ケイ カオリ

なんと12年も前に求めたものでした。びっくり!!!

竹で編んだ小箱に柿渋を塗った和紙が貼ってあり、とても軽いです。合わせの口もぴったり。柿渋も艶やかできれいです。早速使おうと手近にあった唐辛子を入れてみました。


【お知らせ】

「食の雑誌」第20号でご紹介した谷 健治さんの個展があります。

谷 健治 作陶展
2010年5月19日~5月28日
ギャラリー蓮
東京都渋谷区神宮前2-5-6
03-3796-6701

釉美屋 石川恭子

2010年5月9日日曜日

伊東祐一さんの青磁の器

今回は第18号でご紹介した伊東祐一さんの青磁の器の第2弾。
青磁のデザートカップです。
ちょっと、なかなかにハイソで・・・
実は我が家の食卓でも登場は稀ですが、特別な席ならば、ぴったりといったところでしょうか?
アイスクリームに、果物に、ドラジェのようなお菓子にもよく合います。

伊東さんの個展が、5月9日(日)から16日(日)まで中村美術サロン(茨城県筑西市)であります。

中村美術サロンは、私の父も大変お世話になったギャラリーで、当時の住所表記は下館市大町。伊東さんのDMを作っていて気付いたのですが、今や大町という住所表記はなく、(もちろん下館市も)何やら寂しいというか・・・、寂しいを超えて混乱してます。
筑西市甲ってどこよー???みたいな(怒)

釉美屋 石川恭子

2010年5月2日日曜日

林まさみつの竹の盛皿

ブログが先か、おやつが先か?晴れた日の午後に近所の和菓子屋に行ってきました。

この季節なら、やっぱりこれだなと柏餅を買い、林まさみつさんの竹のお皿に盛ってみました。

この竹皿、一回り大きいものと小さいものとで合計3枚ありますが、登場回数が一番多いのはこの大きさです。(一辺が24㎝くらい)夏になれば、冷たいおそば用の、まさに“ざる”になります。


林さんは別府在住で、花かごを中心に制作しています。
工房の名前は『けはれ工房』、けはれ通信という手書きのお便りをいただき、私は企画した展覧会の案内を送り、多分、お互いに『おっ、がんばってるじゃん』と思っているのだと・・・(私だけかな?)

林さんの展覧会を東京近辺で見る機会は少ないので朗報を一つ。

6月6日から19日まで鎌倉のはたのさん(稲村ケ崎のギャラリー)で個展があります!

釉美屋 石川恭子

2010年4月25日日曜日

室町勝廣の茶碗

このところの変な陽気のせいなのか、私が住んでいる集合住宅の庭の椿はまだ見ごろです。

前回の抹茶でお茶を点ててみました。
お茶碗は、室町勝廣さんの『葆光彩盛磁椿文茶碗』

葆光(ほこう)とは光沢をかくすこと,物の線や境をやわらかく薄く表すことを言います。彩盛(さいもり)とは、釉薬を塗り重ねて盛り上げることです。

本来ならば、温かい春の日差しの中でといきたいところですが、今年の春は3歩進んで2歩下がり?そのせいで、手元で花見としゃれこんでみました。が、せっかくお茶を飲もうというのに、お菓子が無い!トホホなティータイムでした。

釉美屋 石川恭子

2010年4月17日土曜日

大室桃生のガラスの茶入れ

このところお菓子続きだったので、ここらで一服欲しいところ
と思い立ちました。

大室さんのご自宅兼お仕事には、“飛火庵”という立派なお茶室が
あり、そのお披露目会で使用した茶入れです。5月半ばの若葉が
美しい季節で、白いガラスにお茶の緑が映えてこれまたとてもきれい
でした。

いつも思うのですが、蓋のあるものというのは、蓋を開けた瞬間の
楽しみというものがあります。お茶をいただいた後のお道具拝見で
お客様にも楽しんでいただきますが、やはりお茶会は亭主(主催者)
が一番楽しむものかも?と言ったら、お茶人に怒られちゃいますかね。

釉美屋 石川恭子

2010年4月10日土曜日

垣沼一舟の乾漆の器 第2弾

前回に引き続き、垣沼さんの乾漆の器です。

直径は10㎝ほど。前回の赤い器より深さがあります。

写真をとるのがとんでもなく難しい器なのですが、黒地に緑の漆が層になっています。

内側の面は全て鏡面仕上げ。

そこにあるだけで、幸せな気分になれる美しい器です。

今回は、ハリボのマンゴーグミを入れてみました。

ほんとは、濡れ甘納豆か何かを入れて、食べていくうちに模様が出てくるという使い方が楽しいかもしれません。

黒い漆も、緑の漆も、乾漆という技法も漆をご存知の方にとっては何も新しいことではありません。

ですが、作家が違うとこれらの素材や技法での表現(作品)が全く違ってくるから面白いのです。

やっぱり、工芸はやめられない(キッパリ)。

釉美屋 石川恭子

2010年4月4日日曜日

垣沼一舟の乾漆の器

垣沼一舟の乾漆の器

直径10㎝ほどの小さな器です。
乾漆ならではの形に3種類の赤い漆を金を塗り重ね砥ぎ出すことによってできる色の層がとてもきれいです。


あまりの美しさに、日常的に使ってはいませんが、時々取り出しては眺めています。今回は、この器にホワイトチョコと和三盆を使ったお菓子をのせてみました。


垣沼さんは、新潟県村上市在住の漆作家。
出会いはとんでもなく昔です。垣沼さんの作品を新宿のギャラリーで見つけ、一目ぼれし、伝統工芸士リストから住所を探してラブレターを書いたのがきっかけでした。


展覧会のコーディネーションという仕事をしていると、作家にラブレターを書くことはよくあることですが、垣沼さんが第1号。


美しい作品に出合えること、その作り手に出会えることの喜びで、工芸LOVE!という病はますます重症に・・・(笑)

釉美屋 石川恭子

2010年3月27日土曜日

蓋付の白い器

3連休の最終日は、姪の高校進学のお祝いでフレンチをいただきました。その時のスープは白い蓋付の器でサーブされ、中身も具だくさん。白い器って、味気ないときもありますが、具材の色が際立つことを考えれば、やはり賢い選択なのかもしれません。

蓋付の器かぁ・・・、あっ、うちにもあったなと引っ張り出してきたのがこの器です。これって、どう見てもお茶碗では?そうのなのです。若い時、客人用のお茶碗は蓋付!と思いこみ、というか、憧れ?そろえたのがこのお茶碗なのです。あまりに昔でどなたのなのか忘れましたが、多分、中村清六窯のものだったような・・・

蓋付のお茶碗で、お茶をお出しするような客人は滅多に来ません。なので、ずっとお蔵入り。今回のフレンチでヒントを得て、簡単なスープ(人参と湯葉と卵)を入れてみました。結構使えるかも?せっかく蓋があるのだから中身は温かいものがいいなぁ。おしのぎ程度の蒸し寿司もいいかも!(そんなもん作ってる暇があるんかい?)と一人妄想にふけるのでした。


釉美屋 石川恭子

2010年3月21日日曜日

田中勝重の漆のお椀

ここのところ、食欲、酒欲がなく、背中が痛く、花粉症と風邪はありで大変なことになっています。

十二指腸潰瘍の疑いありというわけで、(ちなみにこの病気、毎度のことなので驚かず)、それじゃ豆腐粥でも作ろうかと。

『江戸料理をつくる』という本に掲載されていますが、作り方はいたって簡単。

出汁の中に切った豆腐をいれるだけです。今日は、出汁のかわりに鳥ガラスープの素を使いました。本当は葛をいれてとろみをつけますが、葛がないのでパス。

たっぷり食べないといくらなんでもおなかが減るので、器は、田中勝重さんのお椀を使いました。この器、麺類を食べる時は必ず登場します。使い始めて10年以上の重み!?

なんか、いい味出してますって感じです。食器棚の中でも、他の器に比べて大きいということもあってか王様です。

王様、さすがに10年たつとあちこちに傷が・・・(多分、洗ってるときにぶつけた)今度、漆器クリニックにお連れしようかと思ってます。
 
 
釉美屋 石川恭子

 

2010年3月7日日曜日

長江 重和の器

愛知県瀬戸市在住の長江さんと初めてお会いしたのはいつ、どんな時だったのか・・・?記憶にないのです。
ですが、長江さんの作品を初めて見た時のことは強烈に覚えています。

1997年の第14回日本陶芸展、長江さんの作品は、大賞・桂宮賜杯を受賞し、その年のパンフレットを飾りました。そのキャッチが、“土の未来を予感する”(だったかと思います。)もう、ほんとうにかっこよかった!のです。

この作品も、作り方の基本は一緒かと思います。泥状の粘土を型に流し込み、型からはずし、焼成中に自重で形が変形します。
表面と内側の面のテクスチャーの違い、光が透ける輝き、スイングする形。
いつ見ても新鮮で、飽きがきません。

花器としても使っていますが、八百屋さんの店先でオレンジを見つけたので、果物入れに変身していただきました。
白い器とオレンジのコントラストに、冬は終わったなーと思うのでした。

釉美屋 石川恭子
 

2010年3月1日月曜日

谷 健治の染付のプレート

朝食はほとんど毎日パンです。トースト1枚とキリのチーズ1個。
野菜ジュースにコーヒーか紅茶、それにヨーグルトが定番中の定番です。
毎朝、食卓に登場するのがこのお皿。谷 健治さんの染付です。
染付と聞いておわかりのように、絵付の顔料の呉須を使って描かれています。
いわゆる”ブルーアンドホワイト”です。

このお皿、本当は陶板で絵画のように飾って楽しむものだったのですが、裏にちょっとした不具合があり安かったのです。

谷さんの作品には、植物を描いたものとこういった風景を描いたものがありますが、私は風景を描いたもののほうが断然好きです。
世界中を旅行して、スケッチして、それを呉須という単色で表現する作品に、谷さんらしさを一番感じます。素敵です。

さて、このプレートにパンとチーズだけではどうも貧相・・・
それじゃオムレツでも作るかと冷蔵庫を開けたところ、ほとんど空っぽ(笑)
今日こと買い出しに行かねばと決心するのでした。

釉美屋 石川恭子
 


2010年2月21日日曜日

喜多里加の陶のカップ

百の帯留展Ⅳが終わって、日常を取り戻しつつあるとは言うものの、まだまだ雑雑たる作業の毎日です。買い物にもロクに行けず、食糧はコンビニで調達?の日々。
今回は、コンビニで買ったカップスープ(粉末)を喜多里加さんのカップにいれてみました。益子のギャラリーから案内をもらって、益子まで個展を見に行った際に見つけたものです。

カップスープの作り方にある150ccがとてもいい感じに入ります。

このカップ、なかなかに使い勝手がよく、夏は豆カンなどをいれてデザートカップとしても使え、用途は多様。

東京から益子まで車で2時間弱。わざわざ展覧会を見に行って、展覧会がボロいとほんとに疲れ倍増ですが、いいものと出合うと早く帰って使ってみようと常磐道を爆走するのでした。

釉美屋 石川恭子
 

2010年2月13日土曜日

伊東祐一さんの青瓷の鉢

京都出張から帰ってきて、やっと少し日常を取り戻してきました。


今日は飲み友とささやかな宴会。

みず菜とシーチキンを和えた簡単なサラダを一品作ってみました。



器は伊東祐一さんの青瓷の鉢。タイトルは『貝』です。



青瓷は10人10色と言われるほど、作り手によって色合いが微妙に異なります。

伊東さんの青瓷は、やさしいペールブルー。赤い線は、貫入(表面のひび)にベンガラを塗り込むことによって生まれます。



青瓷は東洋陶磁独特のもので、中国の後漢時代に成熟し、今日に至るという歴史の長いものですが、お勉強はさておいて(笑)、伊東さんの器に盛るとこんな手抜き料理も素敵な一品に見えてしまうのが、なんともうれしいのです。

釉美屋 石川恭子
 

2010年2月7日日曜日

景品でもらった器

1月26日から開催している百の帯留展Ⅳ(http://www.yubiya.jp/special/2010/2010_01.html)のために、京都のウィクリーマンションに10日ほど滞在していました。

今回はその時の“器と食”の再現です。こりゃ、番外編か?と思ってお読みいただければ幸いです。

滞在していたウィークリーマンションは食器類の備え付けのないところでしたので、さて、何を持っていこうか悩みに悩み、何か事故があっても惜しくない器を一つだけ持っていきました。

これ、私がいつも食べている発芽玄米の会社の30周年記念でいただいた器です。我が家で死蔵されてました。こんなときに役に立つとは!

発芽玄米だけは旅先でも炊いて、レトルトのタイカレーを食べてました。

で、この画像です。うーむ、なんとも言えない・・・(汗)

万葉集に有間皇子の歌で

家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
(巻2 142)

というのがありますが、まさにこんな気分?

釉美屋 石川恭子

2010年1月31日日曜日

田中千絵の銅のミルクパン

今回も百の帯留展Ⅳhttp://www.yubiya.jp/special/2010/2010_01.htmlの出展者の作品をご紹介します。


田中千絵さんの銅のミルクパンで、最近はまりにはまっているハーブティー“ベンガルスパイス”でチャイ風な飲み物を作ってみました。

千絵さんの作品の特徴は、なんといってもそのユニークな形。

このミルクパンも取っ手の形がいかにも千絵さん風なんです。

持ったときの安定感もばっちりですよ。もっとも、取っ手も一緒に熱くなりますから、鍋つかみをお忘れなく。

金属ってほんと面白いですよねー。なんの変哲もない金属板からこういう作品が生まれてくるなんて、ほんと夢のよう!って思ってるから工芸から離れられないんですね

by石川恭子
釉美屋

2010年1月24日日曜日

関根正文の銀錫の器

百の帯留展Ⅳ(http://www.yubiya.jp/special/2010/2010_01.html)の出展者の作品をご紹介します。


今回は、関根正文さんの銀錫の器(径10㎝、高6㎝)。

ご覧のとおり、形はいたってシンプルなものですが、見せどころは表面のテクスチャーですね。単純な鎚目ではなく、回転させていくと様々な模様があわれて、とてもきれいです。

鏨(たがね)の跡も(写真ではわかりにくいですが)、手づくりならではといった感じで、工芸ファンとしては満足感一杯です。

少し深めなところが、案外ネックで我が家の食卓にはあまり登場していなかったのですが、飲み友が酒の肴に買ってきた豆菓子をいれてみたら、これが案外いいかも!?

作品のハイソさと豆菓子のカジュアルさのミスマッチ!は意外でした。

釉美屋 石川恭子
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2010年1月17日日曜日

清水真由美の小さな器

今月26日からの帯留展Ⅳ(http://www.yubiya.jp/special/2010/2010_01.html)の最後の準備で、今、てんてこまいです。

18人の出展作家からぞくぞくと作品が届いています。

出展者のひとり、陶芸家の清水真由美さんから差し入れをいただきました。

3色の金平糖です。真由美さん、いつもお気づかいありがとう!



早速、彼女の小さな器にいただいた金平糖を入れてみました。

この器は酒器ですが、“ぐいのみ”というにはあまりに繊細で、私の中では“小さな器”です。



「顔料を練り込んで色土を作り、それらを金太郎飴のように模様の棒に組んでいきます。この模様を組み合わせて様々なパターンができるのです。」

と教えていただきましたが、この細かさ!並の作業じゃありません。



繊細な器にかわいい金平糖、仕事場の雑然たるテーブルの上ですが、この作品の周りだけは、あたたかく、穏やかな空気が流れているようでした。


釉美屋 石川恭子
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2010年1月10日日曜日

乾漆の器

今回は、お正月の喧騒が収まったころに食べたい一品、百合根のリゾットをご紹介。食材事典によれば、百合根はお正月用の食材として12月に出荷のピークを迎え、お正月が過ぎると値段が下がるのだそうです。どうりで、この撮影のために買いにいったら安かった(うれしい)。


冷やごはんと百合根をオリーブオイルを垂らした薄い昆布だしで煮詰め、最後にパルメザンチーズをかけるというお手軽な一品です。

百合根が甘く、ホクホクでとてもおいしいですよ。

器は、輪島キリモトさんの乾漆のお椀です。軽くてとても丈夫。表面の仕上げがザラザラしているので金属のスプーンにも負けず、傷がつきにくいのです。乾漆ならではの形の面白さも気に入ってます。

懐石料理の最後に、ご飯が黒い器に一文字を描いて盛られてきますが今回はそんなイメージでした。

乾漆(かんしつ):器態となる原型を木材、石膏などで作り、麻布を漆で貼り重ね、離形して器とする漆器素地の制作法。

釉美屋 石川恭子
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2010年1月4日月曜日

五画形の器

毎年暮に、お世話になった方々をご招待して忘年会をやります。

昨年の忘年会から一つをご紹介。

器は『炻器 五画皿』、作者は三原 研さん。島根県在住の陶芸家です。

炻器の説明は難しすぎて省きます。陶磁器の一種だと思ってください。

この作品、釉薬がかかているかのように見えますが、実は釉薬なしの焼き締めです。釉薬なしで、どうしてこんなに豊かな表情が出せるのかほんと感心します。

地色の深い色合いと肌感が大好きで、静かなのに存在感があります。

今回は、ご覧のとおり、茹でたカリフラワーとブロッコリーを盛ってみました。

果物などを盛って、常に卓上に置くという手もありますが、この作品は、ここ一番というときに登場していただくのがよいかも!

そんな器もあります。


釉美屋 石川恭子
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